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ガイドライン関連の最新情報

ラムシルマブ大腸癌適応拡大について(2016年5月)

このたび、大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版の「切除不能進行再発大腸癌に対する化学療法」に追記すべき臨床試験の結果が報告されましたので、下記の情報提供を行います。

切除不能進行・再発大腸癌に対するフッ化ピリミジン系製剤+オキサリプラチン+ベバシズマブ療法後の2次化学療法としてのFOLFIRI±ラムシルマブ療法の多施設共同無作為化二重盲検第III相試験

論文名Ramucirumab versus placebo in combination with second-line FOLFIRI in patients with metastatic colorectal carcinoma that progressed during or after first-line therapy with bevacizumab, oxaliplatin, and a fluoropyrimidine (RAISE): a randomised, double-blind, multicentre, phase 3 study
掲載雑誌名Lancet Oncol. 2015;16(5):499-508.
著者名Tabernero J, Yoshino T, Cohn AL, Obermannova R, Bodoky G, Garcia-Carbonero R, Ciuleanu TE, Portnoy DC, Van Cutsem E, Grothey A, Prausová J, Garcia-Alfonso P, Yamazaki K, Clingan PR, Lonardi S, Kim TW, Simms L, Chang SC, Nasroulah F
試験のスポンサー名イーライリリー株式会社
試験デザイン、本論文における結果の要約
試験デザイン

 フッ化ピリミジン系製剤+オキサリプラチン+ベバシズマブ療法の一次治療歴を有する切除不能進行再発大腸癌患者をFOLFIRI+ラムシルマブ(ラムシルマブ群、ラムシルマブは8mg/kgを2週に1回静脈注射)またはFOLFIRI+プラセボ(プラセボ群)にそれぞれ1:1のランダム割り付けとする、国際共同ランダム化二重盲検第III相試験(RAISE試験)。

本論文における結果の要約

 2010年12月から2013年8月までに1072名が登録され、ラムシルマブ群とプラセボ群にそれぞれ536名が登録された。主要評価項目である全生存期間は有意にラムシルマブ群が優れていた(ハザード比0.84, 95%信頼区間0.73-0.98, ログランクp=0.0219, 生存期間中央値:ラムシルマブ群13.3か月、プラセボ群11.7か月)。Grade3以上の治療関連有害事象はラムシルマブ群で79.0%、プラセボ群で62.3%に認められ、好中球減少(38% vs. 23%)、発熱性好中球減少(3% vs. 2%)、高血圧(11% vs. 3%)、下痢(11% vs. 10%)、疲労(12% vs. 8%)であった。

本論文における結語

 FOLFIRI+ラムシルマブ療法はFOLFIRI+プラセボ療法と比較して有意に全生存期間を延長し、忍容性も良好であった。

ガイドライン委員会のコメント

 ラムシルマブは、切除不能進行再発胃癌患者に対する二次化学療法での有用性が証明され、大腸癌に対してもその有用性が期待されていた。

 本試験の結果より、一次治療におけるフッ化ピリミジン系製剤+オキサリプラチン+ベバシズマブ療法に対し不応/不耐となり、全身状態が良好に維持されているPSが0-1の大腸癌患者に対しFOLFIRI+ラムシルマブ療法は生存期間を延長することが示された。有害事象ではラムシルマブ群で好中球減少症、血小板減少症、疲労、高血圧がやや多く認められたが、下痢に両群間で相違はなく、臨床上特に問題となる発熱性好中球減少症は低頻度であり、忍容性には大きな問題はないと考えられる。

 以上より切除不能進行再発大腸癌に対する化学療法の治療アルゴリズムにおけるFOLFIRI+ラムシルマブ療法は、FOLFOX(またはCapeOX)+ベバシズマブ療法に不応/不耐となった場合の二次療法として位置づけられ、FOLFIRI+ベバシズマブ療法、FOLFIRI+抗EGFR抗体(セツキシマブ,パニツムマブ)療法などと同様に選択枝の一つと考えられる。

参考文献

1) Bennouna J, et al. Continuation of bevacizumab after first progression in metastatic colorectal cancer (ML18147): a randomised phase 3 trial. Lancet Oncol 14(1):29-37, 2013

大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版「切除不能進行再発大腸癌に対する化学療法」に追記すべき臨床試験結果について(2016年4月)

このたび、大腸癌治療ガイドライン医師用2014年版の「切除不能進行再発大腸癌に対する化学療法」に追記すべき臨床試験の結果が報告されましたので、下記の情報提供を行います。

前治療歴を有する切除不能進行再発大腸癌に対するTAS-102単独療法:国内多施設ランダム化プラセボ対照第II相試験

論文名TAS-102 monotherapy for pretreated metastatic colorectal cancer: a double-blind, randomized, placebo-controlled phase 2 trial.
掲載雑誌名 Lancet Oncol 2012, 13: 993-1001
著者名Yoshino T, Mizunuma N, Yamazaki K, Nishina T, Komatsu Y, Baba H, Tsuji A, Yamaguchi K, Muro K, Sugimoto N, Tsuji Y, Moriwaki T, Esaki T, Hamada C, Tanase T, Ohtsu A.
試験のスポンサー名大鵬薬品工業株式会社
試験デザイン、本論文における結果の要約
試験デザイン

 前治療歴を有する切除不能進行再発大腸癌患者をTAS-102(トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)またはプラセボにそれぞれ2:1でランダム割り付けし、主要評価項目を全生存期間とした国内多施設第II相試験が行われた。

本論文における結果の要約

 2009年8月から2010年4月までにTAS-102群112名、プラセボ群57名が登録された。ほとんどの症例は国内で使用できる抗がん剤に不応なECOGPSが0-2の患者であった。観察期間中央値11.3ヶ月の時点で,全生存期間中央値はTAS-102療法群で9.0ヶ月,プラセボ群で6.6ヶ月であった(ハザード比0.56,80%信頼区間0.44-0.71, 片側p値 0.0011)。TAS-102療法では頻度の高いGrade3以上の有害事象は血液毒性であり、好中球減少50%及び白血球減少28%であった。重篤な有害事象はTAS-102群、プラセボ群でそれぞれ19%, 9%であり、治療関連死亡は認めなかった。

本論文における結語

 TAS-102は標準治療に不応・不耐な切除不能進行再発大腸癌に対して将来有望となる有効性を示し、忍容性も概ね良好であった。

標準治療に不応な切除不能進行再発大腸癌に対するTAS-102単独療法

論文名Randomized Trial of TAS-102 for Refractory Metastatic Colorectal Cancer.
掲載雑誌名New Engl J Med 2015, 372: 1909-1919.
著者名 Mayer RJ, Van Cutsem E, Falcone A, Yoshino T, Garcia Carbonero R, Mizunuma N, Ymazaki K, Shimada Y, Tabernero J, Komatsu Y, Sobrero A, Boucher E, Peeters M, Tran B, Lenz HJ, Zaniboni A, Hochster H, Cleary JM, Prenen H, Benedetti H, Mizuguchi H, Makris L, Ito M, Ohstu A.
試験のスポンサー名大鵬薬品工業株式会社
試験デザイン、本論文における結果の要約
試験デザイン

 標準治療に不応・不耐となった切除不能進行再発大腸癌患者をTAS-102(トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)またはプラセボにそれぞれ2:1でランダム割り付けし、主要評価項目を全生存期間とした国際共同第III相試験(RECOURSE試験)が行われた。

本論文における結果の要約

 2012年6月から2013年10月までに、標準治療に不応でECOG PSが 0-1の800名が登録され、日本からは全体の約1/3の患者が登録された。前治療歴として、フルオロピリミジン、イリノテカン、オキサリプラチン、ベバシツマブは全例で使用され、KRAS野生型の患者では抗EGFR抗体薬がほぼ100%使用されていた。また、国内では2013年5月より販売されたばかりのレゴラフェニブも全体で18%の患者に使用されていた。必要イベント数574に達した時点で,全生存期間中央値はTAS-102療法群(534名)では7.1ヶ月,プラセボ群(266名)では5.3ヶ月であり,優越性が証明された(ハザード比0.68,95%信頼区間0.58-0.81, 片側p値 <0.0001)。TAS-102療法群において1名のみ敗血症性ショックによる治療関連死亡を認めた。TAS-102療法群にて頻度の高いGrade3以上の有害事象は血液毒性であり、好中球減少38%及び白血球減少21%であった。一方、非血液毒性は発熱性好中球減少症、倦怠感および食欲不振4%、下痢3%、と軽微であった。全生存期間におけるサブセット解析では、日本人とそれ以外の患者との間ではとくに交互作用は認めなかった。

本論文における結語

標準治療に不応・不耐となった切除不能進行再発大腸癌に対して、TAS-102は全生存期間の延長および優れた忍容性を示した。本試験の結果から、TAS-102療法は、標準治療に不応になった切除不能進行再発大腸癌に対する治療としての新たな治療選択肢となりうる。

両試験の結果を受けて、ガイドライン委員会のコメント

 Yoshino T らにより国内で行われたTAS-102単独投与とBSCとのランダム化比較第Ⅱ相試験にて有望な結果が得られたことにより国際共同第Ⅲ相試験であるRECOURSE試験が行われた。RECOURSE試験の結果から、TAS-102単独投与はフッ化ピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカン、ベバシツマブ、および抗EGFR抗体薬など全ての薬剤に対し不応/不耐となり、全身状態が良好に維持されているPSが0-1の大腸癌患者の生存期間が延長することが示された。本試験におけるTAS-102の有効性に関しては、CORRECT試験 (Lancet 2013,381:303-312)におけるレゴラフェニブの有効性とほぼ同等であった。また、TAS-102の有効性に関して、KRAS変異の有無、人種間(日本人と欧米人)には大きな影響を受けないことが示された。有害事象では骨髄抑制および発熱性好中球減少症に留意する必要があるが、後者の発生割合は3.7%であり、適切なタイミングでの血液検査、さらには減量/休薬により、十分安全に管理が可能と思われる。

 切除不能進行再発大腸癌に対する化学療法の治療アルゴリズムにおけるTAS-102(トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)の位置づけは、レゴラフェニブと同列に位置付けられると考えられる。すなわち、フッ化ピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカン、ベバシツマブ、および抗EGFR抗体薬に対し不応/不耐となった患者に対しては、全身状態、およびそれぞれの薬剤の毒性プロファイルを考慮して、いずれかの薬剤を選択することになる。尚、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩(トリフルリジンとして約35mg/m2/回)は5日間服薬2日休薬を2回繰り返したのち14日間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返すことになっており、これまでの経口薬に比べてやや複雑な服用法となっている。よって医師、外来看護師・薬剤師がチームとなって、より適切な服薬指導、コンプライアンス・副作用確認が必要となる。

大腸癌治療ガイドライン速報版(2013年12月)

このたび、わが国で行われたSOFT試験の結果が公表されましたので下記の情報提供を行います。

切除不能進行再発大腸癌に対する一次治療としてのFOLFOX+bevacizumab療法とSOX+bevacizumab療法:ランダム化第III 相非劣性試験(SOFT試験)

論文名Leucovorin, fluorouracil, and oxaliplatin plus bevacizumab versus S-1 and oxaliplatin plus bevacizumab in patients with metastatic colorectal cancer (SOFT): an open-label, non-inferiority, randomised phase 3 trial
掲載雑誌名 Lancet Oncol 14: 1278–1286, 2013
著者名Yamada Y, Takahari D, Matsumoto H, et al.
試験のスポンサー名大鵬薬品
試験デザイン、本論文における結果の要約
試験デザイン

 前治療歴のない切除不能進行再発大腸癌患者を対象に,主要評価項目を無増悪生存期間とし,標準治療であるFOLFOX+bevacizumab療法(以下、FOLFOX+Bmab)に対するSOX療法(オキサリプラチンとS-1の併用療法)+bevacizumab療法(以下、SOX+Bmab)の非劣性を検証する第III相試験である。

本論文における結果の要約

 観察期間中央値18.4ヶ月の時点で,無増悪生存期間中央値はFOLFOX+Bmab療法群(255例)で11.5ヶ月,SOX+Bmab療法群(256例)で11.7ヶ月であり,非劣性が証明された(ハザード比1.04,95%信頼区間0.86-1.27,非劣性の検定 p=0.014)。Grade3以上の有害事象として,FOLFOX+Bmab療法群では白血球減少及び好中球減少が有意に多く、SOX+Bmab療法群では下痢,食欲不振の頻度が有意に高かった。また、SOX+Bmab療法群において、Ccr(クレアチニンクリアランス)70mL/min未満の患者ではGrade 3以上の下痢の頻度が21%であったのに対し, Ccr 70mL/min以上の患者では6%であった。

本論文における結語

 切除不能進行再発大腸癌に対する一次治療として、FOLFOX+Bmab療法に対するSOX+Bmab療法の無増悪生存期間における非劣性が示された。SOX+Bmab療法は、切除不能進行再発大腸癌に対する一次治療としての新たな治療選択肢となりうる。

ガイドライン委員会のコメント

 本論文では、FOLFOX+Bmab療法に対するSOX+Bmab療法の無増悪生存期間における非劣性が証明され、SOX+Bmab療法がFOLFOX+Bmab療法と並ぶ一次治療の選択肢の一つであることが示された。

 ただし、Grade3以上の有害事象として,FOLFOX+Bmab療法では白血球減少及び好中球減少が有意に多く、一方でSOX+Bmab療法では下痢,食欲不振の頻度が有意に高かった。SOX+Bmab療法を行う際には、このような有害事象プロファイルの違いに留意する必要がある。また、SOX+Bmab療法には、中心静脈ポート造設や5-FU持続静注ポンプが不要という利点があるが、一方で、経口抗がん剤であるS-1がきちんと服用されるよう、患者指導をしっかりと行うことが重要である。また腎機能低下例では、SOX+Bmab療法による下痢の頻度が高いことに留意する必要がある。

大腸癌治療ガイドライン医師用2010年版「切除不能進行再発大腸癌に対する化学療法」に追記すべき臨床試験結果について(2013年4月)

このたび、大腸癌治療ガイドライン医師用2010年版の「切除不能進行再発大腸癌に対する化学療法」に追記すべき臨床試験の結果が報告されましたので、下記の情報提供を行います。

既治療の切除不能進行再発大腸癌に対するレゴラフェニブ単剤療法(CORRECT) :国際多施設ランダム化プラセボ対照第III相試験

論文名Regorafenib monotherapy for previously treated metastatic colorectal cancer (CORRECT): an international, multicentre, randomised, placebo-controlled, phase 3 trial
掲載雑誌名Lancet. 381:303-12, 2013. Epub 2012 Nov 22.
著者名Grothey A, Van Cutsem E, Sobrero A, et al.
試験のスポンサー名Bayer HealthCare Pharmaceuticals
本論文の要約
背景: 全ての既承認標準治療後に進行した切除不能進行再発大腸癌患者には利用可能な治療オプションはないが、多数の患者は良好な全身状態を維持し更なる治療の候補となりうる。このような患者においてマルチキナーゼ阻害剤レゴラフェニブを評価するため国際共同第III相試験が行われた。
方法:16カ国の114施設で実施された。最終の標準治療中あるいは治療後3ヵ月以内に増悪した切除不能進行再発大腸癌患者がレゴラフェニブ160mgまたはプラセボを1日1回、3週間内服1週間休薬する2群にランダム化された(2:1の割付率で、ブロックデザインを採用。VEGF標的薬治療歴、転移診断からの期間、地域で層別化)。プライマリーエンドポイントは全生存期間。
結果:2010年4月から2011年3月の間に1052例がスクリーニングされ、760例がレゴラフェニブ(505例)またはプラセボ(255例)に割り付けられ、753例で治療が開始された。あらかじめ計画されていた中間解析(データカットオフ2011年7月)においてプライマリーエンドポイントが達成された。生存期間の中央値はレゴラフェニブ群で6.4ヵ月、プラセボ群で5.0ヵ月(ハザード比0.77、95%信頼区間0.64−0.94、片側検定p値0.0052)であった。治療関連有害事象はレゴラフェニブ群で465例(93%)、プラセボ群で154例(61%)であった。レゴラフェニブに関連した最も頻度の高いグレード3以上の有害事象は手足皮膚反応(17%)、疲労(10%)、下痢(7%)、高血圧(7%)、発赤あるいは落屑(6%)であった。
解釈:レゴラフェニブは全ての標準治療後に増悪した切除不能進行再発大腸癌において、延命効果をもたらした初めての小分子マルチキナーゼ阻害剤である。本試験は、病勢進行後も標的治療が持続的な役割を果たすことを示すとともに、レゴラフェニブが治療不応の患者集団に対して新たな治療選択肢となることを明らかにした。
ガイドライン委員会のコメント

本試験の結果から、全ての標準治療が無効となった患者で、全身状態が良好に維持されている場合には、レゴラフェニブ投与が生存期間を延長することが示された。本剤の使用に当たっては、その主たる効果は病状の安定化(奏効率1%、病状安定化率DCR 41%)であり、生存期間中央値の差は1.4ヵ月であることを考慮に入れておく必要がある。有効性に関して、現時点では有用なマーカーの報告はなく、KRASの影響を受けないことが明らかにされている。有害事象は適切な減量/休薬により管理が可能と思われる。本試験には100例の日本人のデータが含まれており、サブグループ解析においてGrade 3以上の手足皮膚症候群の頻度が高く、1コース目から出現していることから、早期の適切な対応が重要である(第10回日本臨床腫瘍学会学術集会2012)。

大腸癌治療ガイドライン速報版 2013年3月

このたび、大腸癌治療ガイドライン医師用2010年版「CQ15:二次治療における分子標的治療薬」に追記すべき臨床試験の結果が報告されましたので、下記の情報提供を行います。

切除不能進行・再発大腸癌に対する一次化学療法増悪後のベバシズマブ継続投与(ML18147試験):第Ⅲ相ランダム化試験

論文名Continuation of bevacizumab after first progression in metastatic colorectal cancer (ML18147): a randomized phase 3 trial
掲載雑誌名Lancet Oncol 14: 29-37, 2013
著者名Bennouna J, Sastre J, Arnold D, et al.
試験のスポンサー名F Hoffmann-La Roche, Ltd.
試験デザイン、本論文における結果の要約
試験デザイン
対象: 切除不能進行・再発大腸癌に対しベバシズマブを含む一次化学療法が3ヶ月間以上投与され、かつ3ヶ月以上の無増悪生存期間を有する患者で、投与中に増悪あるいはベバシズマブの最終投与から3ヶ月以内に増悪した患者。
方法:二次化学療法として、ベバシズマブ2.5 mg/kg/週相当量(5 mg/kgを2週間毎または7.5 mg/kgを3週間毎)を併用する群と併用しない群に1:1の比でランダムに割り付けたオープンラベルの第III相臨床試験である。二次化学療法はオキサリプラチンベースまたはイリノテカンベースの化学療法のいずれかを、一次化学療法のレジメンに応じて選択した。主要評価項目は全生存期間とし、intention to treat(ITT)解析を行った。
本論文における結果の要約

2006年2月から2010年6月までに、欧州を中心とした220施設から409例がベバシズマブ+化学療法群に、411例が化学療法単独群に割り付けられた。全生存期間中央値(MST)は、ベバシズマブ+化学療法群が11.2カ月(95% CI:10.4-12.2)、化学療法単独群が9.8カ月(95% CI:8.9-10.7)であった(ハザード比:0.81、95% CI:0.69-0.94;非層別log-rank検定 p=0.0062)。Grade 3-5の出血または脳出血(8例[2%]vs. 1例[<1%])、消化管穿孔(7例[2%]vs. 3例[<1%])、および静脈血栓塞栓症(19例[5%]vs. 12例[3%])は、化学療法単独群に比べベバシズマブ+化学療法群で多かった。治療関連死はベバシズマブ+化学療法群で4例、化学療法単独群で3例報告された。

本論文における結語

切除不能進行・再発大腸癌におけるベバシズマブを併用した一次化学療法増悪後の、二次化学療法レジメンとの併用によるベバシズマブの継続投与について、臨床的な有用性が証明された。

ガイドライン委員会のコメント

 本試験は、一次化学療法増悪後の二次化学療法におけるベバシズマブの継続使用(Bevacizumab Beyond Progression:BBP)と化学療法単独治療を比較した臨床試験である。本試験の結果より、ベバシズマブの継続使用が二次化学療法の標準治療の一つとして位置づけられると考える。一方で、本試験においてBBPにより得られたMSTの差は1.4ヶ月程度の差であること、毒性の増強や高額な医療コストなど、リスクとベネフィットを十分考慮した上で治療法を選択することが望まれる。
 また、KRAS野生型症例に対する二次化学療法として、ベバシズマブの継続使用が良いのか、抗EGFR抗体薬併用療法が良いのかは、今後の検討課題である。現時点ではいずれも選択肢になり得る。

オキサリプラチンの用法・用量に関する変更について

【速報】 NO16968試験概要、および結腸癌術後補助化学療法としてのCapeOX療法に関するガイドライン委員会のコメント

根拠となった文献:

(1)安全性に関して
Phase III trial of capecitabine plus oxaliplatin as adjuvant therapy for stage III colon cancer: a planned safety analysis in 1,864 patients.
Schmoll HJ, Cartwright T, Tabernero J, Nowacki MP, Figer A, Maroun J, Price T, Lim R, Van Cutsem E, Park YS, McKendrick J, Topham C, Soler-Gonzalez G, de Braud F, Hill M, Sirzén F, Haller DG.
J Clin Oncol 2007; 25: 102-109
Supported by F. Hoffmann-La Roche Ltd.

(2)有効性に関して
Capecitabine plus oxaliplatin compared with fluorouracil and folinic acid as adjuvant therapy for stage III colon cancer.
Haller DG, Tabernero J, Maroun J, de Braud F, Price T, Van Cutsem E, Hill M, Gilberg F, Rittweger K, Schmoll HJ.
J Clin Oncol 2011; 29: 1465-1471
Supported by F. Hoffmann-La Roche Ltd.

NO16968 試験のデザイン:

Stage III結腸(直腸S状部を含む)癌を対象に、主要評価項目を無病生存期間として、対照群であるbolus 5-FU+LV療法に対する試験群であるCapeOX療法の優越性の検証する第III相比較試験である。

NO16968 試験における結果の要約:

 1,886例が対照群942例、試験群944例に無作為に割り付けられた。3年無病生存期間は対照群/試験群=66.5%/70.9%であり、主要評価項目である無病生存期間における優越性が検証された(HR=0.80, 95%CI=0.69-0.93,P=0.0045)。
 Grade 3/4の有害事象は対照群/試験群=47%/55%で、試験群に多く認められ、特に末梢神経障害に関しては、全Gradeで対照群/試験群=8%/78%、Grade 3/4で対照群/試験群=<1% /11% と試験群で明らかに多く認められた。その他の有害事象では、Grade 3/4好中球減少で対照群/試験群=16%/9%、発熱性好中球減少4%/<1%、口内炎9%/<1%は対照群で多く、Grade 3手足症候群<1%/5%、Grade3/4血小板減少<1%/5%は試験群で多く認められた。

NO16968 試験の結語

CapeOX療法がStage III結腸癌の術後補助化学療法として無病生存期間を延長することが検証され、この対象の術後補助化学療法の選択肢となりうる。

【ガイドライン委員会のコメント】
  1. 2011 年11 月25 日、オキサリプラチン、カペシタビンの添付文書における「用法・用量」、「臨床成績」に関する記載内容が変更となった。
  2. これにより、結腸癌術後補助化学療法としてCapeOX療法 を保険診療として使えるようになったが、オキサリプラチン併用の結腸癌術後補助化学療法の適応については、大腸癌治療ガイドラインの記載を参考に、患者さんのリスク/ベネフィットを十分に考慮して適応を判断することが重要である。
  3. CapeOX療法の場合、オキサリプラチン投与量は130mg/m2/回、3週毎であり、FOLFOX療法(オキサリプラチン85mg/m2/回、2週毎)と異なること、またカペシタビン投与量も 2,000mg/m2/日、14日間内服、7日間休薬(C法) と、カペシタビン単独の術後補助化学療法(B法:2500mg/m2/日 14日間内服、7日間休薬)と異なることに留意すべきである。
  4. 現在のところ術後補助化学療法におけるカペシタビン以外の経口抗がん剤とオキサリプラチン併用のエビデンスは無く、その有効性、安全性は確立しておらず、今後の臨床研究の課題である。
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FIRIS試験結果の公表について

このたび、わが国で行われたFIRIS試験の結果が公表されましたので下記の情報提供を行います。

切除不能進行再発大腸癌に対する二次治療としてのFOLFIRI療法と
イリノテカン+S-1併用療法(IRIS):ランダム化第II/III相非劣性試験(FIRIS試験)

論文名Irinotecan plus S-1 (IRIS) versus fluorouracil and folinic acid plus irinotecan (FOLFIRI) as second-line chemotherapyfor metastatic colorectal cancer: a randomised phase 2/3 non-inferiority study (FIRIS study)
掲載雑誌名Lancet Oncol 2010; 11: 853–60
著者名Muro K, Boku N, Shimada Y, et al.
試験のスポンサー名大鵬薬品工業株式会社、第一三共株式会社
試験デザイン、本論文における結果の要約
試験デザイン

5-FU系薬剤またはオキサリプラチンとの併用療法の一次治療に不応・不耐となった切除不能進行再発大腸癌患者を対象に,主要評価項目を無増悪生存期間とし,標準治療であるFOLFIRI療法に対するIRIS療法(イリノテカンとS-1の併用療法)の非劣性を検証する第Ⅲ相試験である。

本論文における結果の要約

観察期間中央値12.9ヶ月の時点で,無増悪生存期間中央値はFOLFIRI療法群(213例)で5.1ヶ月,IRIS療法群(213例)で5.8ヶ月であり,非劣性が証明された(ハザード比1.077,95%信頼区間0.879-1.319,非劣性の検証 p=0.039)。

本論文における結語

切除不能進行再発大腸癌に対する二次治療として、FOLFIRI療法に対するIRIS療法の無増悪生存期間における非劣性が示された。IRIS療法は、切除不能進行再発大腸癌に対する二次治療としての新たな治療選択肢となりうる。

ガイドライン委員会のコメント

本論文では、FOLFIRI療法に対するIRIS療法の無増悪生存期間における非劣性が証明され、IRIS療法がFOLFIRI療法と並ぶ二次治療の選択肢の一つであることが示された。

ただし、Grade3以上の重篤な有害事象として,FOLFIRI療法は好中球減少が有意に多く、一方でIRIS療法は下痢,疲労,食欲不振,発熱性好中球減少などの非血液毒性の頻度が有意に高かった。IRIS療法を行う際には、このような有害事象プロファイルの違いに留意する必要がある。また、IRIS療法には、中心静脈ポート造設や5-FU持続静注ポンプが不要という利点があるが、一方で経口抗がん剤であるS-1がきちんと服用されるよう、患者指導を行うことが重要である。

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